2021/07/26 07:11
ある週末の強い風の吹きまくる日のこと、私はおさない息子といっしょに浜辺をぶらついた。
私たちははまぐりの貝殻を海から陸の方へ吹きつける風の中へ投げつけては、その貝殻が
曲線を描いて風に押しもどされて飛んでくるのを楽しんでいた。
どうしてそんなことが面白かったのかわからないが、とにかくその朝は、貝殻投げがこの上なく
楽しいものに思えたのである。
しばらくして時計を見ると、昼食の時間だった。
私たちはしぶしぶ浜を立去った。食卓の前に腰をおろしてから私はやっと、なぜあの貝殻投げを
やめたのだろうと考えはじめた。
正午という時刻に、なんでそれほど重要な意味があるのか?どうしてわれわれはまるで催眠術にでも
かかったように時計の言いなりにならなければならないのか?
昼食後、息子と私はまた浜へ引返したが、さきほどの楽しい気分はもう消えていた。
貝殻と風は今度はもう私たちに何の感興も起こさせず、ただ目の中に砂粒を吹きつけるばかりであった。

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