2023/11/12 07:12
ロシアのヴィタリー・マンスキー監督は北朝鮮の日常生活を撮るため
北朝鮮政府との交渉を始め、2年かけ撮影許可を取得。
平壌の8歳の少女ジンミを中心に据え、家族や友人や市井の人々の姿を
ドキュメンタリーで制作をするつもりだった。
しかしジンミが名誉とされる少年団に入る様子、金日成の生誕を祝う太陽節の
ための踊りの準備、家族の食事風景などすべてのシーンで当局の介入・演出があった。
とてもドキュメンタリー制作は無理と悟ったマンスキー監督はこのヤラセの過程を
撮ることに決め、関係者に気づかれぬようにカメラを回し続けた。
ジンミが反日・反米の授業を受け北朝鮮指導者を礼賛し徐々に北朝鮮の組織の
一員になりつつある過程が薄ら恐ろしい。
映画のラストで、当局の人たちを部屋から出してジンミのアップを撮ることになった。
「少年団入団で期待することは?」と問われて諳んじていた文章を滔々と述べる。
「少年団員は組織活動をし、大元帥様のために何をすべきか・・・」
ところが途中で話に詰まり顔をゆがませ大粒の涙を流し始める。
声もたてずに泣き、それは子どもの泣き顔のようではなかった。
当局の人のいない場で初めて受ける質問に不安緊張を感じたためか、
あるいは8歳にしてふと“真実”に疑問を抱いたのか。
ヤラセの劇中初めて垣間見せる痛々しくも真実の瞬間だった。
スタッフはあわてて「好きな詩はある?」と誘うと、顔を上げ、指導者を
讃える詩を口にして映画は終わる。
「大元帥様の教えの通り考えながら行動し社会主義祖国の後継者として・・・」


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