2009/06/27 07:40
札つきのやくざ者が死んで、神のもとに召されることになった。
この先どんな運命が待ち受けているのだろうかと、彼は内心びくびくしていた。
なにしろ、永年酒場で大酒を飲んでは浮かれ騒ぎ、女のしりを追いかけまわしてきたのだ。
その報いとして、どんな目に遭わされるかわかったものではない。
ところが、めざす天国の門までやって来ると、意外なことに彼は暖かく迎えられた。
「何かの間違いではないんでしょうね」彼は聖ペテロに尋ねた。
「間違いじゃありませんとも」聖ペテロは答えた。「人間の生前の記録など、ここでは一切
つけていませんからね。あなたも皆さんと同じように大歓迎ですよ」
やくざ者はそのとき、すみのほうに大勢の人がかたまっているのに気がついた。
その人たちは数分ごとに泣き出しては、近くにいる人のおしりをけとばしている。
「あの人たちは、泣いたり、お互いにけとばしたりしていますが、いったい、
どういうわけなんですか?」とやくざ者は尋ねた。「ああ、あの人たちね」聖ペテロは答えた。

「一生の間、努めて真面目に生きてきた連中です。天国ではちゃんと記録をつけていると
ばかり思っていたんですよ」


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8 Comments

  • 鷹の爪痕 

  • はじめまして。鷹の爪痕と申します。
    こちらのブログを見つけてから、毎日のようにこっそりと拝見しておりました。

    まとまった文章の中にユーモアが詰められ、大変楽しませていただいてます。

    この度、私もリンクを貼ろうと思い立ち、ぜひこちらのブログのリンクを貼らせていただきたいと思い、コメントしました。

    初めてのコメントでいきなりお願いになってしまい、申し訳ありません。
    ご了承いただいてから対応したいと思ってますので、何卒よろしくお願い致します。
  • 2009/06/27 23:21 | URL 
  • elleander 

  • はじめまして。

    リンクありがとうございます。

    私の方でもリンクさせていただきます。

    elleander
  • 2009/06/27 23:34 | URL 
  • 空飛ぶミケ猫 

  • もし天国というものがあったなら
    もし死語の世界というものがあったなら
    実際どうなんでしょうか、生前の行為が影響するんでしょうか。

    欲望のまま生きるのではなく、我慢するんでもなく、
    日1日自分が満足した生き方をしていけばいいんでしょうね。
    ま、難しいかもしれませんが……
  • 2009/06/28 21:02 | URL 
  • エリアンダー 

  • > もし天国というものがあったなら
    > もし死後の世界というものがあったなら
    > 実際どうなんでしょうか、生前の行為が影響するんでしょうか。

    どうなんでしょうか。
    善行をつめば仏教では極楽へ、キリスト教では天国へ、ヒンズーでは
    よい生まれ変わりでしょうか。

  • 2009/06/29 00:05 | URL 
  • ピンピンシニア 

  • 実に面白いお話でした。
    ニヤリとしてしまいました。
  • 2009/06/29 05:23 | URL 
  • エリアンダー 

  • > 実に面白いお話でした。
    > ニヤリとしてしまいました。

    ということは、天国では記録されてないってことで安心されたんですか(笑)?

    今後ともよろしく。


  • 2009/06/29 08:08 | URL 
  • えめる 

  • まさに人生の皮肉ですね。
    見返りを期待して生きるからこんな目に会うんですよね。
    だからある意味妥当なのかな?
  • 2009/06/29 20:28 | URL   [ 編集 ]
  • エリアンダー 

  • 天国で記録がないとなると私も一安心です。

    親に反抗したり、友達を裏切ったりしてますから(笑)。


  • 2009/06/29 22:10 | URL 

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