2011/07/25 07:11
「小遣い」 cedarmさん

ある男が今日もまた、仕事の疲れと苛立ちを抱えたまま、真夜中過ぎに帰宅すると、
彼の5歳の息子が待っていた。

「パパ、聞きたいことがあるんだけど?いい?」
「もちろんだよ、なんだい?」
「あのね、パパは一時間でどの位お金をもらってるの?」

子供らしくない不愉快な質問に、男は怒った。
「お前には関係のない話だ!何でそんなことを聞くんだ!」

今にも泣き出しそうな男の子が答えた。
「ただ・・・知りたいだけなの。教えて」
「どうしても、知りたいんだな。大体2000円位だよ。」
「え!」
男の子は、びっくりした声をあげると、何か考え込み、
そして、意を決すると、父親に言った。
「パパ!ボクに1000円貸してちょうだい」

男は、激怒した。
「お前が、親の稼ぎを聞きたかったのは、つまらない物を買うために、
金を借りるためか!自分がいかに自分勝手か分かるか?
パパは、一生懸命働いて、疲れてるんだ。こんなことを言うなら、
早く寝なさい!」

叱られた男の子は、静かに自分の部屋へと行った。

男は座ると、もう一度息子の質問を考えはじめた。
全く、ろくでもない事を聞きやがって・・・。
しかし、少し怒りすぎたかな。
いつもは、お金をほしがる子じゃないし、何か本当に
1000円の欲しい物があったのかもなぁ...。

男は、息子の部屋へと赴いた。
「もう寝たかい?」
「ううん、まだ起きてるよ。」
「さっきは、ちょっと怒りすぎたな。今日は、長いこと働いていて、
苛ついていたんだ。ほら、お前が言った、1000円だよ。」

男の子は、目を輝かせて、「パパ!ありがとう!」というと、
貯金箱の中から小銭を取り出した。

父親は、その小銭を見ると、再び不機嫌そうに言った。
「もう、1000円もあるじゃないか、なんで、もっと欲しいなんて言ったんだ」

「だって足りなかったんだ。でも、もう足りたよ。
ほら、2000円あるから、パパと1時間一緒にいられるよね?」

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