2009/12/21 07:11
「サンタ」

クリスマス前のある雪の朝、スクールバスのベテラン運転手ハービーは、
バスの乗客である小学低学年の腕白小僧たちにほとほと手を焼いてしまった。
お休み気分にはしゃいだ小学生は、キーキー奇声を発しながら通路を行ったり
来たり、ついにはバス全体が割れるような騒ぎ。
ハービーはなだめたりすかしたり、おどしたりしてみたがいっこうにききめがない。
とうとうハイウェーのはずれに停車して、ラジオのマイクをつかみ大声でわめいた。
「こちらハービー。もうわしは頭にきたよ。サンタクロースにつないでくれ。繰返す。
北極のサンタにつないでくれ。どうぞ」
バス会社では配車係が目を丸くして、他の人たちに「ハービーが気が狂ったぞ!」と
叫んだ。同じ運転手仲間のアンジェロが事情を察してマイクに向かうと、お腹の底から
太い声を出して話しかけた。バスの騒音はハタとやんだ。
「フン、フン。こちら北極のサンタクロ-ス。何か困ってるらしいな」
「サンタさん。いつもはおとなしい子供たちなのですが今日は手に負えません。
どうしたらいいでしょう?」
サンタの声が、バス中になり響いた。
「ハービー。子供たちに、おとなしくすわっていなさい、さもないとサンタは来ませんよと
言ってくれ。もう一度このサンタを呼出すようなことがないようにな。わしは今クリスマス
プレゼントの用意に忙しいんだから」
ハービーがあとで報告したところによると、
「その後はコトリとも音がしなかったよ」

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